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プロフィール

ゴメス★河田

生年月日 1986年 5月 6日

「野球芸人のゴメス★河田です。今回、僕のような3軍選手が富山県に行かせていただけることになり大変光栄でございます。富山県は僕の大好きな野球と深く関わりがあります。「プロ野球の父」正力松太郎さんの出身地。全国生産量7割を誇る木製バット工場。ベースボール・チャレンジ・リーグも盛んです。そんな富山県に僕は運命的なものを感じました。 野球を通じて、富山県を、そして日本を元気にしていけるよう必死のパッチで頑張ります。」

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野球短編小説「盗塁男」

2012年3月1日

彼は逃げる

とにかく逃げる

誰も彼を捕まえることなどできない

気を許したら最後

彼は確実に逃げる

彼に追い付くことは絶対にできない

どんなに足が速くても

彼には追いつけない

彼の足は速いなんて簡単な言葉では表現できない

凡人の目には見えないのだ

信じられないスピードで

彼は走り続ける

そんな人間離れした脚力を彼はなぜ手に入れたのか

天性の才能

そうではない

彼は生まれつき脳に障害をもっていた

言葉が理解できない

思考能力がない

彼はまともに生活する事ができなかった

彼の親は

そんな彼に嫌気がさし

ついには彼を公園に捨てて置き去りにした

彼はそこから動かなかった

なぜここに自分がいるかも理解できなかった

彼は生き延びるため本能で草や土を食べ続けた

雨上がりの水溜まり

彼はたくさんの水を飲んだ

そんな彼をおもしろがって公園に遊びに来た子供達は彼をいじめた

殴ったり蹴ったり

石を投げたりもした

そして彼は泣いた

痛いという言葉も知らず

ただ泣き叫ぶだけだった

しかしある日

彼はいじめにあったときに走って逃げるという行動を身につけた

ある日殴られそうになった彼は逃げだした

ひたすら逃げた

彼の脳はどこまで逃げれば助かるという事を認識する力がなかった

だから走った

彼はひたすら走った

どこまでも走り続けた

走り続けること数時間

気付けば知らない街にいた

彼は走るのをやめた

そしてまた泣き叫んだ

彼の体はゆっくりと地面に崩れ落ちた

そこへ

一人の老人が現れた

老人は泥だらけ傷だらけの彼を家へ招待した

しばらくして

老人は彼が脳に障害があることを理解した

老人は一人暮らし

数年前に妻に先立たれ

寂しい毎日を過ごしていた

そこへ彼が現れた

この日から老人と彼の共同生活が始まった

老人は彼に優しく接した

最初は怯えていた彼だが

日々老人と過ごすうちに

次第に老人のことを好きになっていった

そして数年後

彼に悲劇が訪れた

老人が突然倒れ帰らぬ人になってしまった

最愛の人を失った彼は家を飛び出した

どうすればいいか

彼にはわからなかった

ただひたすら走ることしかできなかった

彼は走り続けた

もちろん行く宛もなく

ただひたすら走り続けた

どこに着こうとも

彼が止まることはなかった

そんな彼を目にした人々は驚嘆した

目の前を通りすぎたものがなにかすら認識できない

彼は走り続けたことで

人間離れをした

恐るべき脚力を身につけていたのだ

そんな彼は

街の噂になり

そして噂が噂を呼び

自動車より速く走る彼を

マスコミが取り上げた

ついには世界的ニュースに発展した

彼を捕まえろ!

政府までが動き出した

この世のものとは思えない彼の脚力に世界が注目した

そんなことはつゆしらず

彼はまだ走り続けていた

逃げ続ける彼をマスコミは盗塁男と名付けた

野球用語で逃げるは盗塁を意味するからだ

盗塁男は逃げ続ける

もちろん捕まることはない

誰も彼を止められない

ある男がこう言った

「確かに野球用語で盗塁は逃げるを意味するが、実際は攻めている。相手に攻撃を仕掛けている。人は彼を逃げてると言うが、私には彼が世間に対して攻めているようにみえる。」

今もどこかで

彼は走り続けているだろう

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野球短編小説「ホームレス野球」

2012年2月25日

★ホームレスになった男★

とある河川敷

ここに生きる気力を失ったホームレスが17人いた

彼らは日々なにをするわけでもなくただ毎日を無駄に過ごしていた

そんなある日

この河川敷にまた1人、家を失った男がやってきた

彼はプロ野球選手だった

3年前に広島東洋カープにドラフト8位入団

一軍を目指して二軍で毎日汗を流していた

が、しかし

球団に見切りをつけられ、ついに戦力外通告

一度は野球をやめようかと考えたが諦めきれず

トライアウトを受験、しかし不合格

野球への道が閉ざされた

就職を考えたが、最終学歴が高卒のため

なかなか内定をもらえず

仕方なくアルバイトをして生計を立てる日々

だがそれも長続きせず

ここでも戦力外通告をうけてしまう

両親は不慮の事故で早くに他界したため身寄りはない

援助をしてくれる親戚等もいない

ついには家賃を払えずアパートを追い出される

とうとう彼は生きる気力を失ってしまった

そして

行く宛もなくこの河川敷へやってきたのだ

「こんな風にだけはなりたくないと思っていたがついに俺も仲間入りか…」

★河川敷のしきたり★

数日経つうちに彼はここのしきたりに気付いた

どうやらここにはボス的な存在の男がいて

そいつに物品を差し出せば食料がもらえるようだ

「ここで生きるためにはこうするしかなさそうだな」

彼は街へ繰り出し、ゴミ捨て場などから様々な物品を持ち帰った

そしてそれを差し出し、ボスから食料を受け取る

こんなものをこいつは一体なにに使うんだ?

そもそも食料は一体どこで手に入れているのだ?

理由はわからなかったが

生きるためにとにかく彼は物品を集め続けた

ゴミ捨て場を漁る日々

当然不審者と思われる

だが仕方がない

物品をみつけては持ち帰りボスに差し出す日々が続く

そんなある日

彼はゴミ捨て場からとある物をみつける

バットとグローブだ

彼の中で忘れていた何かがよみがえった

野球…

野球がしたい

もう一度野球がしたい

そこで彼は閃いた

そうだ、野球をしよう

彼はバットとグローブを持ち帰りボスに提案をした

「野球をしないか?」

いきなりどうした?という眼でみられる

それはそうだ

彼は自分が元・野球選手で野球に対しての未練があることを伝えた

ボスは少し考えたがすぐに納得した

ここで生きぬくためには

それぞれが協力しあうため団結力が必要だ

野球をすることで団結力が生まれるならそれもいい

仲間に相談をしてぜひとも野球をしようという言葉をもらった

ボスとして仲間に慕われているだけのことはある

なかなか良い男だ

幸いこの河川敷には18人ホームレスがいる

そして野球ができるだけの敷地は十分にある

あとは道具だけだ

道具さえ全て揃えばここで野球ができる

だがその道具を集めるのがなかなか難しい

グローブなんてそう簡単にみつかるものではない

しかし彼は野球がやりたいという一心で必死に道具を探した

また野球ができる

また野球ができるんだ

★道具集め★

野球道具を探し始めてから半年が経った

日に日に仲間が増える

一緒に道具を探してくれる

どうやら彼らも野球をするのが楽しみのようだ

以前に野球をやっていたのだろうか

とにかく仲間達のおかげで道具が増え出した

案外グローブも結構な数が見つかった

あともう少しで全員分だ

しかしこれだけ野球道具が捨てられているという事は

野球をする人が減っているということなのか

それとも

ただ買い換えたから捨てただけなのか

中にはグローブにネームが入ったものもある

こんな思い入れのある物を捨てるなんて…

なんだか切ない気持ちにもなってくる

「道具は大切にしろ」

小さい頃から監督コーチにそう教えられてきた

道具だって生きているんだ

長年使われ捨てられていく道具はなにを思う

今までその道具にどれほど助けられたというのだ

捨てられたグローブ

彼らが再利用をすることで少しは報われるだろうか

そこで彼はふと気付く

あれ?

俺の使っていたグローブはどこにやっただろう?

全力投球という刺繍入りの俺のグローブ

家を出る時に捨てたのか?

高校時代から使い続け

あれほど大切に扱っていた俺のグローブ

俺はその大切なグローブを捨ててしまったのか…

なんということだ…

★1年経過★

野球道具を探し始めてから1年が経った

ついに全員分の野球道具が揃った

よくぞここまで諦めないで探し続けたものだ

いよいよ試合ができる

中には経験者もいるが

ほとんどが野球のルールを知らない

簡単なルール説明はしたが詳しく教えるのは面倒だ

彼らには、試合をしながら覚えてもらおう

こうして試合が始まった

野球だ

やっと野球ができる

今までは当たり前のようにやっていたのに

1年

長かった…

野球をするためにこんなに苦労をするとは・・・

感慨深いものがある

彼の野球がやりたいという一心がホームレスの野球を実現させた

★試合開始★

試合はむちゃくちゃだった

素人ばかりなので当然だ

投手がストライクを投げることができない

四球の連続で、たちまち満塁になった

ここで4番

元・プロ野球選手の彼だ

久しぶりの野球

体がうずうずしている

だが投手がボールの連続で打ちたくても打てない

あっという間に四球、押し出しとなった

1番打者の男がホームへとやってくる

これで1点だ

しかし男はホームの寸前で立ち止まった

「どうした?」

「悪いが野球はここまでだ」

「どういうことだ?」

「考えてみろ。俺達にはホームがない。帰るべきホームがない。俺達はホームレスなんだ。だからこの野球には点など入らないんだよ。バカバカしくなってきた。もう野球はやめよう」

こいつは野球をしながらこんなことを考えていたのか・・・

突然のことで驚いたが、彼はすかさず反論した

「あんた、それは違うぜ。確かに俺達はホームレス。家庭なんてものはない。でも帰る場所はあるだろう。俺達はこの1年野球道具を馬鹿みたいに探し続けた。そこには間違いなく団結力結束力があった。そしてこうやってみんなで野球をしている。俺達はもう家族同然だ。ここは俺達のホームなんだ。俺はみんなと野球ができる今がすごく楽しい」

と、そこへ話を聞いていた一塁手のボスがやって来た

「おう、お前。良いこと言うじゃないか。でもよぉここを帰る場所にするのは良くないぜ。俺達は本当はここにいちゃいけねぇんだ。お前の馬鹿みたいな野望に1年も付き合ったおかげで気付かされたよ。俺達はまだやれる。人生をやり直せる。もう一度青春時代に帰ったつもりで全力で今を生きていこうじゃねぇか。思い切りいこうぜ!さあ、とにかく今は野球をしよう!」

そう言ったボスの手の平にあるグローブには

全力投球

という刺繍が入っていた

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富山物語「富山版浦島太郎」

2012年2月8日

あるところに

心の優しい方言研究家の蓑島良二という先生がいました。

蓑島先生が雨晴海岸を通りかかると

子どもたちが大きなぶりを捕まえていました。

そばによって見てみると、子どもたちがみんなでぶりをいじめています。

「ぶりって変な名前やなー」

「ぶりぶり〜」

ぶりをかわいそうに思った蓑島先生は子どもたちに注意をします。

「これ、ぶりをいじめちゃだめやねかー!」

「やーちゃよ。おらっちゃが捕まえたぶりやぜ。どうしようと勝手やねか」

みるとぶりは涙をパラパラとこぼしながら、蓑島先生をみつめています。

蓑島先生はかばんから本を取り出すと子どもたちに差し出して言いました。

「それじゃこの富山弁辞書をあげっから、おじさんにぶりをゆずってくれっけ?」

「やーちゃよ。富山弁なんて勉強したくないがんぜ」

「ならマンガ倉庫で売ってこられ。いくらかお金になっちゃ」

「うん。わかったちゃ」

こうして蓑島先生は子どもたちからぶりを助けてあげました。

「もう大丈夫やちゃ」

そう言いながらぶりをそっと海の中へ逃がしてやりました。

それから2、3日がたったある日のこと

蓑島先生が雨晴海岸で富山弁の研究をしていると

「・・・蓑島先生・・・蓑島先生」

と、誰かが呼ぶ声がしました

「おや、誰かおわを呼んどんのか?」

「ぶりぶり〜」

すると海の上に、ひょっこりぶりが頭を出して言いました。

「このあいだは助けていただいてありがとうぶり。おかげで命が助かったぶり」

ぶりが突然話したことに驚いた蓑島先生は、持っていた富山弁の辞書を思わず落としてしまいました。

「ところで蓑島先生は龍宮まつりに行ったことがあるぶりか?」

「龍宮まつり?なーん。どこでやっとんが?」

「滑川ぶり」

「えっ、滑川でそんなまつりあんがけ?」

「そうぶり。今から僕がお連れするぶり。さぁ、僕の背中に乗るぶり」

蓑島先生は戸惑いつつも、ぶりの背中に乗って海の上をぶりぶり進みました。

しばらくして、滑川の龍宮まつり会場へ到着しました。

「これが龍宮まつりけ?」

「そうぶり。さぁこちらへ」

ぶりに案内されるまま進んでいくと、この龍宮まつりの主催者の美しいホタルイカ姫が富山湾の魚たちと一緒に蓑島先生を出迎えてくれました。

「ようこそ蓑島先生。わたしはこの龍宮まつりの主催者のホタルイカ姫です。このあいだはぶりを助けてくださってありがとうございます。お礼に龍宮まつりをご案内します。どうぞ、ゆっくりしていってくださいね」

蓑島先生はなにがなんだかわからない状態でしたが、言われるがまま用意された席につきました。

そしてそこで用意された魚たちのエサや海洋深層水を飲みながら

白えびのダンス

げんげの一発芸など

富山湾の魚たちの出し物を眺めていました。

ここはまるで天国です。

蓑島先生は時間を忘れて龍宮まつりを楽しみました。

数時間後、さすがにそろそろ帰ろうと思った蓑島先生はホタルイカ姫に言いました。

「ホタルイカ姫。今まできのどくな。そろそろおいとますっちゃ」

「帰られるのですか?よろしければこのまま滑川へ引っ越しては」

「なーん、まだ家のローンも残っとんがで」

するとホタルイカ姫はさびしそうに言いました。

「そうですか。それはおなごりおしいです。ではお土産にこの赤い箱を差し上げましょう」

「赤い箱?」

「はい。ですが約束してください。この箱は決して開けてはなりませんよ。よいですね?」

開けてはいけない箱ならいらないよとは思いながらも、蓑島先生はそれを持ち帰ることにしました。

「きのどくな」

ホタルイカ姫と別れた蓑島先生は、再びぶりに連れられ雨晴海岸へ帰りました。

「それじゃまた会う日までぶり。あ、箱は絶対に開けたらダメぶりよ。」

そう言ってぶりは滑川へ帰っていきました。

「さて、この箱どうすっかの〜」

蓑島先生は開けてはいけない箱の処分に困りました。

「正直いらんし捨てたいがやけどなぁ。しかし開けるなと言われたら開けたくなるもんやちゃ」

蓑島先生は好奇心でつい箱を開けてしまいました。

モクモクモク・・・

すると中から真っ白な煙が出てきました。

「か、なんけ〜!」

蓑島先生は一瞬パニックになりましたが、煙が消えたあとゆっくり箱の中をみてみました。

すると中には大量の薬が入っていたのです。

「なーん、ただの薬箱やねか。か、手紙も入っとるわ!」

箱の奥に一通の手紙がありました。

「蓑島先生。ホタルイカ姫です。箱を開けてしまったんですね。さぞ驚かれたことでしょう。煙が出て驚いている先生の顔を想像するとクスっと笑ってしまいそうです。くすりだけに(笑)」

蓑島先生は手紙を読むと、紙飛行機にして滑川の方角へ思い切り飛ばしました。

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富山物語「しんきろうおじさん」

2011年12月7日

富山県魚津市は蜃気楼がみえることで知られています。

そんな蜃気楼をみようと、一人の少年が海の駅蜃気楼へやってきました。

ここから蜃気楼がみえることがあるのです。

しかし蜃気楼がみえるのは稀であり、少年は何度も足蹴に通いました。

海の駅蜃気楼では蜃気楼みさせ隊といって、蜃気楼が出ていないか常に監視しているおじさん達がいます。

何度も通ううちに少年は蜃気楼みさせ隊のおじさんと仲良くなりました。

「坊や、よく来るね。そんなに蜃気楼がみたいのかい?」

「うん。僕ね、学校でみんなに約束したんだ。蜃気楼をみて写真に撮るって。でないと逆立ちで市内一周しなきゃならないんだ。」

「坊や、のび太くんみたいなこというね。よし、わかった。おじさんが必ず君に蜃気楼をみさせてあげよう。蜃気楼みさせ隊の名にかけて。」

「おじさん、金田一少年みたいなこというね。」

「といっても蜃気楼がみえるかどうかは運だからね。ま、もしみつけたらすぐに教えてあげるよ。」

「なんだ。結局みえるまで毎日通うしかないのか。」

そう言って少年と蜃気楼みさせ隊のおじさんは別れました。

「ふふっ。蜃気楼がみたいと思い続ければきっと願いは叶うよ。」

「ん?誰?なんか声が聞こえたような?気のせいか。」

翌日、少年は海の駅蜃気楼にやって来ました。

「あれ?いつものおじさんと違う。みたことない人だな。」

昨日話した蜃気楼みさせ隊のおじさんがいないことに少し戸惑いつつも少年は蜃気楼を探しました。

海の駅蜃気楼に来て1時間が経ちましたが、まだ蜃気楼はみえません。

「やっぱり今日もみられないのか。」

諦めかけていたその時、少年の目にうっすらと浮かび上がる景色がみえました。

「こ、これが蜃気楼!?」

蜃気楼をみた少年はすぐさま近くにいたおじさんに報告にいきました。

「おじさん、おじさん。今、蜃気楼がみえたよ!」

少年に声をかけられたおじさんは振り返りながらこう言いました。

「ほぅ。それはこんなやつだったかい?」

「ぎゃあー!」

少年は驚きのあまり気絶をしてしまいました。

おじさんの顔は蜃気楼のように細長かったのです。

「人の顔をみて倒れるとは失礼な子じゃなぁ。」

そこへいつもの蜃気楼みさせ隊のおじさんがやってきました。

「いやぁ。今日は来るのが遅れてしまったよ。ん?どうしたんだ坊や。あ、あんたは誰だ!?」

そう聞かれたおじさんは振り返ってこう言いました。

「え、呼んだ?」

「ぎゃあー!」

「また倒れた。せっかく蜃気楼をみさせてあげようと来てやったのに。やれやれ、国へ帰るとするか。」

以降、そのおじさんの姿をみた人はいません。

蜃気楼のように幻の存在だったのでしょうか。

人は彼をしんきろうおじさんと呼び、都市伝説として伝えました。

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富山物語「富山版桃太郎」

2011年11月8日

むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。

おじいさんは立山へ芝刈りに、おばあさんは神通川へ洗濯にいきました。

おばあさんが洗濯をしていると川上から大きな入善ジャンボスイカが流れてきました。

おばあさんはそれを家に持ち帰り、おじいさんと包丁で入善ジャンボスイカを真っ二つにわると中から大きな男の子が現れました。

おじいさんとおばあさんは男の子を入善ジャンボスイカ太郎と名付けました。

「ばあさんや、名前がちょっと長くないかい?」

「じいさんや、じゃどんな名前がいいんじゃ?」

「そうじゃなぁ、山田太郎なんてどうじゃ?」

山田太郎はその後すくすく育ち、立派な男の子に成長しました。

そんなある日、図書館でカモシカが暴れまわっているという噂を聞き付けた山田太郎は、おじいさんとおばあさんにカモシカ退治にいくと言いました。

それを聞いたおばあさんは山田太郎のためにあやめだんごをこしらえました。

あやめだんごを持った山田太郎はいざカモシカ退治に向かいます。

カモシカのいる図書館に向かってると、前から犬の散歩をしている女の人がやってきてこう言いました。

「山田太郎さん、山田太郎さん。」

「山田でいいよ。」

「山田さん、山田さん。お越しにつけたあやめだんご、ひとつ私にくださいな。」

「いいだろう。そのかわり僕のお供になってくれ。」

山田は犬の散歩をしている女の人をお供に加えました。

「私、豊田麻衣。この子はココちゃん。Youドキッ!たいむって番組の企画で一緒に散歩してるのよ。」

「そんなことより君、可愛いね。僕の人生のお供にもならないかい?」

すると今度はオールバックのいかしたお兄さんがキーキーいいながら声をかけてきました。

「君、僕の5時間耐久ラジオに出てみないかい?」

「あっ、高原兄さんだ!」

「君、名前はなんていうの?」

「レッツゴー純平です」

山田はとっさに思い付いた名前を芸名にしました。

そしてラジオに出る代わりに高原兄さんをお供に加えました。

ついでに近くを飛んでいたライチョウを捕まえました。

「おや、山から降りてしまったのか。立山へ連れて帰ってあげよう。」

さらに後ろから声をかけてくる人がいました。

「すいません、密着取材させてもらえませんか?」

「男前に映してよ。」

こうして、レッツゴー純平、豊田麻衣さん、ココちゃん、高原兄さん、ライチョウ、チューリップテレビのスタッフはカモシカが暴れている舟橋村の図書館へやってきました。

「カモシカを退治にやってきました!カモシカはどこにいますか?」

「あら、カモシカならもう村の人が麻酔をうって捕まえたわよ。」

「アレマー。」

こうしてレッツゴー純平は人気ローカルタレントになりましたとさ。

めでたしめでたし。

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